『逆転裁判』に学ぶ、税務調査の準備。『異議あり!』と言えるだけの証拠は揃っていますか?

「異議あり!」

『逆転裁判』シリーズで、絶体絶命のピンチを覆す、あの逆転劇の始まりの言葉です。
僕も大好きなこのゲーム、実は一見全く関係のない「税務調査」の世界と、驚くほど多くの共通点があります。

それは、勝敗を分けるのは、ただ一つの「証拠(しょうこ)」である、という点です。
今回は、税務調査という法廷で、あなたが無罪判決(=是認)を勝ち取るための準備について、逆転裁判の視点から解説します。

目次

法廷の登場人物:検事=調査官、弁護士=税理士

まず、税務調査を一つの「法廷」だと考えてみましょう。

  • 検事(御剣怜侍など):税務調査官
    あらゆる矛盾点(ムジュン)を突き、あなたの申告に誤りがあるという「有罪判決(=追徴課税)」を目指してきます。
  • 弁護士(成歩堂龍一):あなた、そして顧問税理士
    検事の主張に対し、客観的な「証拠」を突きつけ、依頼人(=あなたの会社)の正当性を証明するのが役目です。

調査官は、決してあなたを陥れようとしているわけではありません。彼らはプロとして、申告内容と事実の間に「矛盾」がないかを、淡々と、しかし徹底的に確認しにくるのです。

全てのカギを握る「証拠品ファイル」の中身

『逆転裁判』で、成歩堂がいつも抱えている「証拠品ファイル」。
これこそが、税務調査における「帳簿書類」そのものです。
これらを日々揃えておくことが、税務調査の準備で必要なものの基本となります。

調査官から「この経費は何ですか?」と問われた時、あなたは胸を張って証拠を提示できるでしょうか?

  • 決定的な証拠: 『契約書』『発注書』
  • 動かぬ物証: 『領収書』『請求書』『銀行の振込履歴』
  • 証言の裏付け: 『議事録』『稟議書』『出張報告書』

実践編:税務調査でよくある指摘と「有効な経費の証拠」

では、具体的にどのような「証拠品」が、調査官の追及に対する決定打になるのか。税務調査の法廷でよくあるケースを見てみましょう。

CASE 1:会議費

  • 調査官の追及:「このレストランの領収書、本当に会議ですか?社長が友人と食事しただけでは?」
  • 有効な証拠:「異議あり!その証拠として、当日の議事録、及び参加者の名刺を提出します。この会食で、〇〇という新規取引の基本合意がなされた記録がここにあります。」

CASE 2:高額な備品

  • 調査官の追及:「この30万円のPC、スペックが完全にゲーミング用ですね。趣味の購入を経費にしていませんか?」
  • 有効な証拠:「異議あり!そのPCは動画編集という高負荷な業務に不可欠な『設備投資』です。証拠として、そのPCで作成した動画の納品書と請求書を提出します。」

CASE 3:外注費

  • 調査官の追及:「ご家族に支払われているこの業務委託費、実態はあるのですか?名義を貸しているだけでは?」
  • 有効な証拠:「異議あり!こちらが、業務委託契約書と、毎月提出されている具体的な成果物(レポートや資料)、そして業務報告のメール履歴です。」

まとめ:裁判(調査)が始まる前に、弁護士(税理士)に相談を

『逆転裁判』では、いつも事件が起こってから成歩堂が駆けつけ、法廷でハッタリをかましながら、ギリギリで逆転無罪を勝ち取ります。

しかし、現実の税務調査は、裁判が始まる前の「準備」が9割です。

証拠品が足りないまま法廷に立てば、どんな優秀な弁護士でも勝てません。
そして正直に言えば、僕は成歩堂龍一のように、毎回てんやわんやで対応するのはキツイです。

だからこそ、お客様に「日々の経理をきちんとやりましょう」と口を酸っぱくしてお伝えしています。
いざという時に慌てないように、日々の取引の中で、いかに「異議あり!」と言えるだけの証拠を揃えておくか。それがすべてです。

僕は、お客様の会社の「証拠品ファイル」が常に完璧な状態であるよう、日々の記帳からファイリングまで、最適な仕組み作りをご提案します。

来るべき日に備えて、あなたの会社の「弁護人」として、一緒に最強の証拠品ファイルを準備しませんか?

まずは、日々の経理から、きちんとやっていきましょう。

あなたの選択は…(どちらも同じリンク先です)

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

吉澤 徳信のアバター 吉澤 徳信 税理士

30代のクラウド専門税理士。
経営者の時間を創り出すための業務効率化、税金のTIPSを発信。
趣味はゲームと漫画で、ブログでは『逆転裁判』から
税務調査を解説したりしています。
詳しいプロフィールはこちら

目次