賞与で節税、と言うけれど。

「賞与で節税できる」と書かれた本を見かけます。
ただ、ひとくくりに節税と呼ぶには、中身が違うものが混ざっています。
私の中では、好きな賞与と、嫌いな賞与があります。

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決算賞与は、節税というより「適正な経費」

決算が近づいて、思ったより利益が出そうなとき。
そんなときに、よく検討されるものの一つが、決算賞与です。

決算直前でも、状況に合わせてまとまった金額を経費にでき、かつ社員の満足度も高めることができる仕組みです。
ただし、決算日までに社員に通知することや、決算後1ヶ月以内(3月決算であれば4月中に)に支払うといった条件があります。

節税の本を読むと、決算賞与で節税できると書いてあったりします。
たしかに「税金を払うくらいなら社員に還元して税金を少なくしよう」、そういう意味なんでしょう。
ただ、私は「節税なのか?」と思ったりします。

ただ単純に利益が出た会社が、社員に対して適正な評価をして、適正に経費を使っているだけなのかなと。
決算賞与の要件には「決算までに通知」「決算後1ヶ月以内に支払う」とあります。
そこから「いざという時に節税できる」というパワーワードが注目されがちです。
それでも私は、節税ではないかなと思っています。

一方、こちらの賞与は違和感しかない

決算賞与とは別の話で、社長自身に賞与を払って社会保険料を削減する方法があります。
月の役員報酬を低くして、賞与で大きく払う、というやり方です。

たとえば、月20万・賞与1,000万。

これは、社会保険料の上限を利用した仕組みです。
社会保険料には上限があって、賞与で多く払えば払うほど、保険料の負担割合は下がっていきます。
同じ年収1,240万でも、社会保険料の負担額は賞与を利用したほうが少なくなります。

私も勤務時代、担当先で見てきました。
前任者の頃から、ずっと続いていたので、モヤモヤしつつ処理をしていました。

社長が新卒社員より少ない月給で、賞与だけドカンと出す。
税理士じゃなくても、違和感しかないんじゃないでしょうか。
社会保険料を下げる、ただそれだけが目的になっているのが明らかに分かります。

線引きは『胸を張って説明できるか』

節税と聞くと、全部同じように見えるかもしれません。
でも、私の中では好きな節税と、嫌いな節税があります。
線引きとしては「家族や身内以外に、胸を張って説明できるか」です。

決算賞与は、説明できるでしょう。
頑張った人に還元している。
シンプルに、それだけのことです。

一方で、月20万・賞与1,000万は、どうでしょうか。
社長が周りの社員より少ない月給なのに、賞与だけドカンと出す。
法律上、明確にダメだと書かれていないので、問題はないのかもしれません。

ただ、自信を持って説明できるかどうか。
モヤモヤすることはないか。
ザワザワしないか。

同じ「賞与」という言葉でも、中身はまったく違います。
適正な経費なのか、それとも保険料を下げるためだけの賞与なのか。

私は、必要があれば決算賞与のご案内はします。
ただ、月給を抑えて賞与でドカンと出すやり方は、好きではありません。

【余白ログ】
土日はPythonを触りながら「本好きの下剋上」のアニメを観賞

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